Presented by NAFL 日本語教師養成通信講座
  ことばの仕組み(文法)

分類:副詞
「いちおう」と「とりあえず」の違いは?
 次のような文においては、「一応」を用いることも「とりあえず」を用いることも可能であり、その意味の違いがはっきりとはしません。

  (1)お話は一応伺っておきましょう。
  (2)とりあえずお話は伺っておきましょう。

 しかしながら、以下の文に現れた「一応」「とりあえず」は入れ換えることができないように思われます。

  (3)太郎の言い分は一応納得のいくものだった。
  (4)花子とは一応仲直りできた。
  (5)とりあえず試作品を作ってみた。
  (6)全額返すことはできないから、とりあえず一万円返しておくよ。

 「いちおう」は最低限の要求・条件をひととおり満たしているが十分とはいえないことを表す副詞であり、一方の「とりあえず」は本格的な対応は後回しにしてできることをおこなう様子を表す副詞です。したがって、(5)(6)のように「一部分をおこなう」ということが明示されている文脈では「一応」ではなく「とりあえず」が用いられ、(3)(4)のように「問題となっている事態がより大きな行為・出来事の一部分である」との解釈を許さない文脈には「とりあえず」はそぐわないことになります。

 (1)(2)の文では、「話を聞く」ことがそれだけで独立した行為と解釈される場合もあれば、「話を聞き、関係者と相談し、対応をおこなう」という一連の流れの中の一部であると解釈される場合もあり、それによって「一応」が用いられることもあれば「とりあえず」が用いられることもあると考えられます。

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